香川真司がベシクタシュに半年間のローン契約で移籍してから数か月、既にスュペル・リグのシーズンが終わろうとしている。

香川真司の成績は第33節のトラブゾンスポル戦を終えた時点で13試合出場4ゴール2アシストというものだ。
移籍してから全試合に出場はしているものの、先発出場はわずか3試合に留まり、現時点での出場時間は468分である。

ドルトムントにいた時はベンチ外連発であったことを考えれば、継続して試合に出続けたのだから状況としてはマシになったと言える。
しかし、香川自身はこのように途中出場を前提とした移籍はしていないはずだ。

なぜ、香川はベシクタシュで思うように出場機会を掴めなかったのだろうか。
同じくトップ下やサイドでプレーするアダム・リャイッチとのポジション争いに負けたからだと考える人は多いだろう。しかし、それは100点の答えではない。

確かにリャイッチのパフォーマンスが香川の出場機会を制限した面はある。
しかし、今回のローン移籍にはそれ以外にもやや複雑な事情が絡んでいるのである。
それを現地メディアの報道を交えながら解説していきたい。

①ベシクタシュの監督は香川の獲得に難色を示していた

日本ではベシクタシュのセニョル・ギュネシュ監督が香川の獲得を熱望していたと伝えられている。
それは、昨夏の時点では決して間違いではなかった。
しかし、ギュネシュは昨冬の香川獲得には難色を示していたのである。
トルコメディアはギュネシュの香川獲得についての考えを次のように伝えている。

ギュネシュ監督の香川獲得についての見解
水曜日の正午にマスコミに対して、「仮に誰かがチームを去ったとしても、新しい選手の加入は必要ないと考えている」と述べたシェノルギュネシ監督は、フィクレト・オーマン会長との話の中で、会長の「香川選手を買い取ってもよい」という提案に対して、「私には、背番号10をつける選手が2人いる(※リャイッチとオーウザン)。この2人ですら十分にプレーさせれない時がある中で、背番号10をつける新たな選手をさらに望むことはない」と発言し、香川選手の買い取りについて否定的な立場をとった。

原文記事:https://www.aksam.com.tr/spor/senol-gunesten-yonetime-iki-tane-10-numaram-var-kagawayi-ne-yapacagim/haber-819018

この記事は市場が閉まる間際にポジションがかぶる選手を加入させることに反対していることを伝えているが、
同時にギュネシュはクラブの財政問題もその理由として挙げている。

ベシクタシュが給料未払い問題を抱えていることは香川が移籍したことによって日本でも広く知られることとなった。
クラブの負債は日本円にして400億円以上であり、今シーズンも数十億の赤字を記録しているのが実情である。
ゆえに、今冬の時点で選手のみならずクラブのスタッフや監督も給料の支払いが滞っていたとされている。

そのような状況でポジションがかぶる新しい選手を獲ることに反対するのは当然と言える。

ギュネシュが香川獲得に反対したことは交渉の最中にメディアを通して伝えられており、ツイッターでは多くのサポーターが激怒していた。
香川クラスの選手を獲得するチャンスなどそうそう無いのだからそのお怒りもごもっともと言えよう。
お金が無いからこそ、香川獲得のチャンスが巡ってきたことはまさに福音であった。

しかし、最終的には次のような流れで香川獲得に至ったことがメディアによって伝えられている。
ヒュセイン・ユセル氏によれば香川獲得直前のやり取りは以下のようなものだったという。

"Kagawa transferi 3 dakikada bitti"
「私と会長、シェノルギュネシ監督そしてアリ・ナイビSDがチームの方針について話をした時があった。その際に私は香川選手を思い出した。『監督、香川が話題になっていますが、どんな選手だと思いますか?』と監督に尋ねると、彼は『いい選手だ』と答えた。私は『彼は我々のチームとウマが合うだろうか』と尋ねたところ、『もちろんさ』と答えた。『じゃあ、どうして我々は彼と契約しないのですか?』と尋ねたら、『(チームに)お金がないからだよ、ヒュセイン』と。(以下続)

原文記事:https://www.haberturk.com/huseyin-yucel-taraftar-isterse-kagawa-nin-opsiyonu-var-2345314-spor

"Kagawa transferi 3 dakikada bitti"
『それならば、私がスポンサーになるので、香川との契約をぜひ承認してください』と言ったところ、監督は『それならばわたしは賛成しよう』と答えた。次にアリ・ナイビSDに香川選手の市場価値を聞いたところ『150万ユーロ』と言われた。そこで『75万ユーロで交渉してみましょう!』と進言したが『それは無理だ。なぜならミランも彼を欲しがっている』 と反論された。しかし私も、『もしそうなったら、彼はミランに移籍をすれば良いですよ。我々は75万ユーロで交渉をしてみて、どんな反応か見てみましょう。』と反論した。すると会長が『それならば、私も25万ユーロ出そう。合計100万ユーロで提案しようじゃないか。ベシクタシュのポケットからは一銭も出さずに、この移籍交渉を終わらせよう』と言った。その後、アリ・ナイビSDが交渉のために席を外したが、3分後に戻り一言『皆さん、移籍が決まりました!』。香川は3分で移籍し、移籍後も3分で2ゴールを決めた。とても良い交渉だった」

原文記事:https://www.haberturk.com/huseyin-yucel-taraftar-isterse-kagawa-nin-opsiyonu-var-2345314-spor

ギュネシュは香川が良い選手であることは認めている。昨夏には自身が獲得を要望していたとされるのだから当然である。
そして、金の問題が解決されるならば賛成するとした。
結果だけを見ればフロント主導とは言え現場の同意も得たうえで香川のローン移籍は実現した。

とは言え、ギュネシュが当初は香川獲得に反対した事実には変わりがない。
その理由には財政事情と共に既存の選手とポジションがかぶるという事情も含まれているのだ。
この時点で香川がより多くの出場機会を掴む為にはかなりの結果を出さなければならなかったことが分かる。

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