「ベシクタシュには金が無い」は本当か

さて、ベシクタシュは香川を来季のチームに留めたいと思っている。
これは恐らく間違いないだろう。

問題は、ベシクタシュには香川を雇う財力があるのかという点である。
香川がベシクタシュへ移籍して以来、日本でもその財政事情の酷さがたびたび報道されるようになった。
特にロリス・カリウスが給与の未払いをFIFAに提訴したというニュースは日本でも話題になった。
日本では報道されていないが、給料を受け取っていないのはカリウスだけではなく、その他の選手に監督やクラブのスタッフ、バスケットボールチームなども長期間未払いの状態であった。

では、具体的にベシクタシュのお財布事情はどうなっているのかをここに示したい。
まずクラブの負債額を経営陣は次のように報告している。

邦貨にして400憶の借金
ベシクタシュのアカトラル・スポーツ・カルチャー施設にて開催された会議において、スピーチをした役員会会長のフェッヤズ・トュンジェルは、ベシクタシュは24億2370万6000リラの借金があることを発表した。

原文記事:https://www.cnnturk.com/spor/futbol/besiktasin-borcu-aciklandi-6

邦貨にして実に400憶円超えの大借金を背負っているというのだ。
そしてその借金を背負った状態でベシクタシュは赤字を垂れ流しているのである。
2018年6月1日から2019年2月28日までの収支は次のようなものであった。

赤字を垂れ流すトルコの巨人
フェネルバフチェは、2018年6月1日から2019年2月28日までの間に、1億220万リラの赤字を計上したことを発表し、ベシクタシュも2億635万9,830リラの赤字を発表した。一方ガラタサライは、3チームあるメジャーチームの中で、唯一利益を出したクラブとなった。

原文記事:https://www.ntv.com.tr/spor/fenerbahce-ve-besiktaszarar-galatasaray-kar-acikladi,PQwy5d2zcUCkbhInrzdxTw

フェネルバフチェも莫大な借金を抱えていることで知られており、ベシクタシュと仲良く赤字を垂れ流している。(更に悪いことに来季はヨーロッパリーグにも参加できないため、更にその事情は苦しいものになると予想される)
また、ガラタサライはなんとか黒字を計上しているものの、こちらも莫大な借金を抱えていることには変わりがない。
3強に次ぐ実績を誇るトラブゾンスポルやブルサスポルも借金を抱えている。
ある程度の財政的健全性を保っているのは新興クラブのバシャクシェヒルだけだとされているのだ。
従って、給与未払いという不祥事は決してベシクタシュだけに見られるものではない。
有名なところでは、かつてガラタサライに所属したフランク・リベリーやヴェスレイ・スナイデルも未払いの被害にあっている。

このような状態に至ったのは、近年の経済的混乱も影響はしているものの、スュペル・リグの体質が根本的な原因となっている。
スュペル・リグは決して貧乏なリーグではない。リーグの放映権料は500億円を超えており、その数字だけを見るならば欧州5大リーグに次ぐ規模を誇る。
ところが、計画性の欠如した経営、借金に頼った成長モデルの破綻が本来であれば裕福なリーグを泥沼へと引きずりこんでしまったのである。
特にチャンピオンズリーグに参加することで得られる収益をあてにした無計画な投資は目に余るものがあった。
プロサッカーはこの20年ほどで大いに成長を遂げたが、それはスュペル・リグに見られるような歪な経営モデルをも産み落としてしまったと言えるだろう。

話が逸れたがベシクタシュにはお金が無いということがお分かりいただけただろう。
お金が無い上に借金漬けであり、今すぐに収入が大幅に増える目途が立たないとなればやることはひとつしかない。倹約である。

TRT(トルコ国営放送)
来シーズンを前に、チームの改革を行うベシクタシュは、まず、チームの平均給与を減らすことを目標としている。経営陣は、ロコとラリンについては他チームからの移籍の申し出を待つ状態であり、今シーズンで契約が終了予定のムスタファ・ペクテメクとアドリアーノについては契約は更新しない予定だ。今後の移籍については、選手への支払い給与額が下がることを基準としている。移籍リストに記載のある選手と交渉を始めた経営陣は、新監督の意見を聞いたのち、選手たちの移籍を決定する予定だ。

原文記事:https://www.trtspor.com.tr/haber/futbol/spor-toto-super-lig/besiktasta-transfer-kriteri-belli-184082.html

不要な選手を放出し、チームの平均給与を下げ、高額な移籍金や給与を必要とする補強はしない。
まさに臥薪嘗胆の時期を迎えようとしていることが分かるだろう。
とにかく無駄な支出は一切せず、必要な投資のみを行い、その上で結果を出すという困難なミッションに挑むことになるだろう。

では、買取に650万ユーロが必要だとされるリャイッチにはついてはどうだろうか。リャイッチほど優れた選手ならば650万ぐらい払っても良いのでは?と思うかもしれない。
しかし、ここでもしっかりベシクタシュの苦しい懐事情が見え隠れするのである。取締役会のウムット・ギュネル氏は次のように説明する。

リャイッチの移籍金も払えない…
ベシクタシュの選手の移籍に関する責任者であり、会長フィクレット・オルマンが率いるチームのメンバーでもある取締役会のウムット・ギュネル氏は、リャイッチと香川の状況について新聞FANATİKにコメントした。まず、650万ユーロ(4,400万リラ)での買い取りオプションが存在するアダム・リャイッチについて、「我々はアダムの出来に、非常に満足している。彼は来シーズンもベシクタシュでプレーすることになるだろう。契約の買い取りオプションについても、特に問題はない。今シーズンの始めに、リャイッチがベシクタシュにレンタル移籍となった際にも、買い取りオプションの支払い条件についてトリノと協議をしている。2.5年以内に30回の分割払いで支払う予定だ。」

原文記事:https://www.fanatik.com.tr/umut-gunerden-ljajic-ve-kagawa-aciklamasi-2064640

なんと30回(一説には20回)の分割払いで払うというのである。
本当に可能なのかどうかは不明だがそのような条件で話が進んでいるというのだ。

こんな状態で香川を来季も雇うことは出来るのだろうか?結論から言えば「出来る」とされている。
それは前回みたように香川がベシクタシュ残留を希望するのであればドルトムントは善処するという約束がなされたとされているからである。
ゆえに、前回の記事で再度のレンタルであるとか、無償での譲渡といった信憑性を疑いたくなる話が飛び出してきたのだ。

ただし、完全移籍のケースで香川の給与(推定550万ユーロ!)の扱いがどうなるのかは不明であるが…。

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